推し、燃ゆ
みなさんこんにちは!
つぼいさとしです。
今日は読書感想文の回です📕
自身が本を書くようになってから、
というかそうなるまで小説はおろか、絵本やビジネス本も、
全てのジャンルにおいて本を読んだことはほとんどなかったのですが、
最近読書にハマってしまいました笑😂
言葉の勉強になる、そもそもどの物語も面白くてエンタメとして最高。
読み始めてからまだ半年も経ってませんが、なかなかのスピードで本を読んでいます。
最初は昔から有名な、
「人間失格」「坊っちゃん」「羅生門」のような作品たちから入り、
最近では現代に生きる小説家さんの本も読み始めました。
のでその紹介をさせてください!
▼推し、燃ゆ
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小説家の宇佐美りんさんが描く作品です。
タイトルにもある「推し」と字は違いますが、
押しも押されぬ『第164回芥川賞』、その受賞作品です。
著書の宇佐美さんは私よりも年下で、まだ20代半ば。
読み終わった後は、とにかく尊敬の一言。
才能があって、でも血が滲むほど本を読んだり様々な努力をして、
苦心して作り上げた作品なのだろうと、なんだか目頭が熱くなりました。
全てが最高の物語だったのですが、私が個人的にいいなと思ったポイントを、
いくつか話せてください。
※簡単なあらすじ※〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
主人公のあかりは、アイドル「真幸」を推していた。
しかしある時、その推しがファンを殴って炎上する騒ぎが起きる。
その炎上から推しへの世間の風当たりは強くなり、それは時が経っても根が深かった。
そして彼は引退へと舵を切って、一般人に戻ろうとしていた。結婚を匂わせて。
その推しの人生に並走するように、あかり自身の日常生活も崩れていく。
推しを推すことが全てだったあかり。人ができることが自分にはできない事に悩み、
生きる糧だった推しもいなくなろうとした時、彼女はどんな行動を選択するのか。
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○何気ない日常の風景が、色めき立つ
内容はもちろんですが、私が特に好きだったのがこのポイント。
宇佐美さんが紡ぐ、日常風景を表現する言葉の数々がとても美しく生々しいです。
そう、美しい表現というだけではなく、生々しいです。
その生々しさが現実との境界線を曖昧にし、
なんだか自分が主人公と同じ体験をしているような気分でした。
例えば、チキンラーメンを作り食べる時のこの表現👇
「コンソメの匂いがする汁に浮いた油のひとつひとつに、蛍光灯が映っている」
すごく綺麗で丁寧な言い回しですが、
その情景が鮮明に頭の中で描けるほど、どこか生々しさを感じます。
この表現の中に蛍光灯というTHE文明の利器!って感じの言葉が、
食べ物のやわかい言葉の中に入っているかだろうと個人的には思います。
こういった日常の家庭内風景や、周りの情景が細かく、
丁寧に、美しく表現されている場面が随所にあります。
○世界観の現代性
一見、表紙を見るとイマイチ読者層がわからず、
特に私みたいなおじさんは「自分が手に取ってレジに並んでいいのか、、?」
って思うかもしれませんw
全く怖気付く必要はなくて、その世界観はまさに高度化した現代社会そのもの。
上で簡単にまとめたあらすじからもわかる通りです。
コロナもあって、人間関係は家族含め希薄になってきていると言われる昨今、
みんな自身の信じるれるものを探し求めているからこそ、
『推し』を見つけ自己投影し、自分のバックボーンにしているのかもしれません。
そんな現代の世界観がふんだんに詰め込まれているので、
どんな方にも読みやすく理解しやすい世界観だと思います。
▼まとめ
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この物語は、ラストが少し暗いのでバットエンドに見えます。
推し活動に溺れた主人公の堕落した人生に見えます。
でも本当にそんな物語なのか。
私はむしろ、応援歌の様に思えました。
みんなこの世の中で、
いろんな形で自分の支えとなるものを選択していると思います。
でも特に日本では、その支えが人と同じレールを歩く事だと強要されがちです。
みんなと同じように生活し、バイトをし、大学に行き、会社に就職する。
それを逸脱する人は、決して認めず否定する。
特に自分を説明することが下手な子供にはどの世界でも厳しい。
人という多様さを軽んじる者には背を向けて、どうか柔らかく生きてほしい。
宇佐美さんのあとがきを合わせて読むと、
この物語が応援歌に見えたのです。
世の中の高度化はおそらく止まらないでしょう。
だからこそ、この物語は時代を超えて人を支える物語になるのではないかと思います。
気になった方はぜひ読んでみてください。
それではまた次の記事でお会いしましょう!
▼本を出版しています。レビューなど書いてくださると泣いて喜びます(ΩДΩ)